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ED治療薬には血管を拡張し血流を改善することで勃起不全の改善や勃起を促進させる効果などがあり多くの人が服用し効果を実感していますが、いくつかの副作用も確認されています。バイアグラの場合、目の充血やほてり、動悸などを感じる方もいらっしゃいますが、稀に「青視症」という症状が出る場合があります。今回はこの青視症についてお話します。

青視症

青視症とは、眼球内の水晶体によって有害な青色視線がカットされなくなったことにより、青いものが鮮やかに見える症状のことです。白内障の手術などで水晶体を除去した際に起こります。青色の光は、目の奥にまで届く有害な光で、これが視神経の集まる黄斑部に当たると、網膜にダメージを与えてしまいます。年齢の高い方の目には、青色の光は水晶体によって遮られ、目の奥まで届きにくくなっています。これは、加齢と共に水晶体内の古い細胞に溜まり黄色みを帯びて青色の光を遮るよようになるためです。年齢が高くなるほど、青色の光は水晶体で遮られる傾向が強くなり網膜まで届かなくなる反面、青色の鮮やかさを感じにくくなっていきます。

白内障の手術により水晶体を除去した場合、今までの青い光を遮っていた水晶体は無くなってしまうので、青い光は目の奥まで侵入してくることになります。そのため、青色が鮮やかに見えるようになります。
これが青視症といい、彩視症や色視症とも呼ばれ、健康な人には見えない色が見えたり、その色が見えるように思えるといったような、視界に色のフィルターがかかって見えるなどと表現されます。青視症の他に、赤視症、黄視症、緑視症などがあります。

ED治療薬で青視症が起こる理由

バイアグラにはPDE-5という酵素の活性を阻害する効果があります。それによって血管拡張作用を持つcGMP(環状グアノリン一リン酸)が体内で増えペニスの血管をはじめとする身体のさまざまな部分の血管が拡張し血流改善が起こります。目の網膜にはPED-5はほとんど存在しませんが、よく似たPDE-6という酵素があります。PED-6は網膜の視細胞に多く含まれ、目が光を受けたことを脳に伝える重要な役割を果たしています。先ほど言ったように、網膜にはPDE-5はほとんど存在しないので、本来であればPDE-5阻害薬であるバイアグラが作用するはずがないのですが、バイアグラにはPDE1～PED11もある程度阻害してしまうので、視覚障害である青視症が発症してしまうことがあります。

バイアグラが網膜のPDE-6に作用する割合はPDE-5に作用する薬効の10分の1程度と言われていますので、青視症の副作用が現れることは稀です。インターネットなどでは、「バイアグラは錠剤が青いから、その影響で物が青く見える」と書かれている場合もありますが、そのようなことはなくでたらめです。

バイアグラの服用後の青視症の対処

バイアグラ服用による青視症は、一般的には時間経過とともに後遺症なく改善します。青視症の副作用が出たからといって慌てる必要はありませんが、性行為の前後に自動車の運転や外に出るといった場合、青視症が出ると危険です。その為、バイアグラを使用して目がチカチカするなどの視覚障害の副作用が現れた場合は、安全のため少し時間を置いてから動くようにしましょう。青視症が現れた場合は、必ず処方されたクリニックで医師の診察を受けるようにしてください。また、ED治療薬のレビトラ(バルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)は、PDE-6へ作用する割合がバイアグラよりも更に低いため、バイアグラ服用後に視覚障害が出た場合は、レビトラやシアリスの服用をおすすめします。

レビトラ・シアリスで青視症は起こらないのか？

青視症はバイアグラで見られる副作用です。レビトラやシアリスでは全くないと言う訳ではありませんが、バイアグラよりも更に青視症の副作用の発症は低いです。先ほども書きましたが、PDE-5の阻害を主に行うので、視覚障害の副作用が起こる可能性のあるPDE6の阻害作用は非常に少なくなっています。PDE-6の阻害作用は以下のようになっています。

バイアグラ・・・PDE-5阻害作用の10分の1
レビトラ　・・・PDE-5阻害作用の16分の1
シアリス　・・・PDE-5阻害作用の700分の1

ED治療薬のPDE-6阻害作用がPDE-5と比べるとかなり少ないのですが、その中でもシアリスのPDE-6阻害作用は非常に低く青視症の症状が発症することはごく稀であると思われます。もしバイアグラで青視症が発症してしまった場合は、処方を受けたクリニックの医師に相談し、レビトラやシアリスの処方をしてもらいましょう。

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